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2020年1月終わりごろから、常に話題となっている新型コロナウイルス。同年3月に入り、中国や韓国だけではなくヨーロッパやアメリカなど世界中に感染者が増加しました。フランスでは「外出禁止令」、アメリカでは「国家非常事態宣言」が発令され、日本のみでなく世界的にも大流行のきざしをみせています。新型コロナウイルスの影響で、職場に行けなくなったり、業務が滞ったりしている方も多いのではないでしょうか。今回は、新型コロナウイルスによって引き起こされる労働問題についても一緒に考えていきたいと思います。

※2020年3月24日時点での公表情報、取材内容をもとに作成した記事です。新型コロナウイルスにつきましては、時期によって記事に記載されている内容と状況に差異が発生する場合がございます。あらかじめご了承ください。

■もくじ

【1】正規雇用・非正規雇用って? ~雇用形態によって生じる待遇の格差~
【2】新型コロナウイルスで浮き彫りになるリアル
【3】雇用保険って? 入っていないとデメリットがあるの?
【4】労働は義務 ~新型コロナウイルスによって、働きたくても働けない現状について~
≪監修弁護士の紹介≫
【5】まとめ


【1】正規雇用・非正規雇用って? ~雇用形態によって生じる待遇の格差~

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「正規雇用」と「非正規雇用」という言葉を耳にしたことはありませんか。「正規雇用」とは雇用期間に期限が決まっていない雇用形態のことで、正社員と置き換えても良いでしょう。一方で、「非正規雇用」とは雇用期間が定められている有期雇用契約を結ぶ働き方を指します。
具体的には、「派遣社員」「契約社員」「パート」「アルバイト」として働いている方が「非正規雇用」にあたります。総務省が発表している2019年度の統計調査によると、働いている方のおよそ38.2%が非正規雇用者である統計結果が出ました。正規雇用と非正規雇用の問題は、同じ仕事内容であるにも関わらず、正規雇用の方が貰える給料が高く、また福利厚生が充実していることが挙げられます。

2020年4月1日より働き方改革の一環で、正規雇用と非正規雇用の給料の格差を埋めようと、「同一労働同一賃金」の制度が大手企業を皮切りに始まりますが、日本の企業のおよそ99%は中小企業です。「同一労働同一賃金」の制度が中小企業に適用されるのは2021年4月からなので、まだまだ改善されるには時間がかかりそうです。


【2】新型コロナウイルスで浮き彫りになるリアル

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中国の武漢から端を発した新型コロナウイルスが、世界各国で猛威をふるい続けています。日本も例外ではなく、大都市部を中心として、日を追うごとに感染者数が増え続けているのが現状です。国や各自治体では、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、リモートワークの推奨や外出自粛、大型イベントの自粛を呼びかけています。その影響で外食産業の客足が伸びなかったり、イベントが中止になったりし、さまざまな職種に支障が出てきている状態です。企業は業績の改善をはかるために、さまざまな手段を講じます。その手段のなかには、非正規雇用者の出勤日数を減らす、解雇、雇い止めも考えられるのです。

実際に、通常は週4日のシフトで働いていた方が、新型コロナウイルスの影響により、週1日に減らされたという話もあります。こういった場合、雇用者側である企業が被雇用者(雇われている人)の契約内容を変更するには、被雇用者の同意を必要とします。加えて、会社都合によって休業日が増え、従来もらっている給料よりも低くなる場合には、平均給料の最低100分の60を支払わなければなりません。労働契約の変更で休みが増えた場合には、企業の都合として減ってしまった分の収入を請求することができる可能性があるでしょう。政府や都道府県から緊急事態宣言が発令された場合には対応が異なる可能性があるため注意が必要です。(※)

また厚生労働省や経済産業省から、新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対して支援制度や助成金が新設されています。新設制度のなかには正規雇用・非正規雇用問わず、助成金を支給されるものもあるのです。しかし、非正規雇用の方が助成金について相談しても、企業によっては「非正規雇用の人のために助成金の申請は出さない」と取り合ってくれないというトラブルも今後発生するかもしれません。そんな時は、諦めてしまうのではなく、企業が所在する地域を管轄している労働基準局に相談してみるとよいでしょう。また、支援制度も内容や適用条件が変更されているので、最新の情報を確認しておくことも大切です。

※3月14日に施行された「新型インフルエンザ等特別措置法」の改正法により新型コロナウイルスでも「緊急事態宣言」を発令できるようになりました。緊急事態宣言で、企業のある地域が外出禁止などの措置が取られた場合、企業は休業せざるを得ない可能性が高くなりますが、このケースの休業は通常は企業都合とはいえないので、休業手当を請求することは難しいでしょう。特措法について詳細を確認されたい方は、こちら(現役弁護士が教えます!急増中!新型コロナウイルス関連の法律相談)をご確認ください。


【3】雇用保険って? 入っていないとデメリットがあるの?

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国や地方自治体が打ち出している支援制度や助成金を受けるためには、「雇用保険に加入していること」が条件になっているものが多く存在します。では、「雇用保険」とは具体的にどのような条件で加入出来るのかを確認していきましょう。雇用保険の加入条件は1事業所に週20時間以上働くことです。つまり、週に20時間以上働いていればパートやアルバイトであっても強制加入しなければならないのです。「雇用保険」のメリットは、失業手当が支給されることが挙げられますし、雇用保険の傷病手当の対象にもなります。また、今回の新型コロナウイルスの支援制度でも、雇用保険未加入者よりも、加入者の方が支援制度の適用条件を満たしやすい傾向にあります。

しかし非正規雇用の方のなかには、週20時間以上働いているのにもかかわらず、雇用保険に入れない
方もいることをご存じでしょうか。掛け持ちで働いており、それぞれの事業所で働いている時間が20時間未満の方です。このようなケースですと、残念ながら現状の制度では雇用保険に加入することは出来ません。加えて高校生や大学生などの学生(※)は、学業が本分であるため加入対象にはなりません。今後は仕事の掛け持ちをしながら生計を立てている方が雇用保険に入れるような環境になり、「ワーキングプア」の状態が改善されれば良いですね。

※例外として、夜間学校に通っている学生の方は、雇用保険に加入することが可能です。


【4】労働は義務~新型コロナウイルスによって、働きたくても働けない現状について~

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これまで、新型コロナウイルスの問題に絡めながら、非正規雇用の方が抱える問題についてお話してきました。今回は、新型コロナウイルスの影響で給料が減ったり、解雇されてしまい、かつ生活に余裕がないという方の支援制度についてお話していきたいと思います。新型コロナウイルスの助成金と前章までお伝えしてきましたが、国から支給される「助成金」は基本的に後払いです。そのため、急を要するお金の場合、助成金の制度では間に合わないケースもあります。

現代社会では、お金が無ければ生活が立ちいかなくなってしまいます。そんな場合の救済措置はあるのでしょうか。政府は新型コロナウイルスの流行を受けて、生活困窮者になってしまった方を対象に小口貸付金の制度を創設しました。生活困窮者のための貸付金の制度として「生活福祉資金」がもともと存在しており、お金を借りるにあたって原則として連帯保証人が必要だったり、利子を支払ったりと制約があります。しかし、今回の新型コロナウイルスの小口貸付金には、保証人や利子がありません。また、単独世帯では上限が15万円、2人以上の世帯に関しては上限が20万円とされています。
貸付金について相談してみたいとお考えの方は、全国福祉協議会ホームぺージからお住いの都道府県を選択して、お近くの拠点を検索することができます。

小口貸付金を利用するにあたっての注意点は、申請後すぐに窓口で受け取れないことです。原則として、貸付金は自分名義の金融機関の口座へ振り込まれることになります。また、振り込み時期に関して厚生労働省に問い合わせをおこなったところ、「迅速に対応する」と具体的な日にちの回答はいただけませんでしたが、従来よりもスピード感を持って支給される可能性が高いと思われます。しかし、貸付金の申請後すぐにお金を受け取れるわけではないので、「このままでは生活が立ち行かなくなる」と考えた時点で相談することが望ましいでしょう。

※1 新型コロナウイルスの支援制度は日々変化している可能性があります。詳細につきましては厚生労働省、もしくはお住まいの都道府県の社会福祉協議会のホームページをご確認ください。

※2 開始日時に関しては、各自治体で異なる可能性があります。詳細につきましては、お住いの社会福祉協議会でご確認ください。

【監修】弁護士法人えそら 馬場 龍行弁護士


馬場 龍行先生
弁護士法人えそら
第一東京弁護士会
この記事は、馬場 龍行弁護士が法律監修を担当しました。

弁護士法人えそらは、お客様が持つ理想の結果を実現するサポートをさせていただいております。
理想は、果て無く遠く、時に非現実的に感じることもあるかもしれません。
しかし、ひとつひとつステップを踏んでいけば、実現できることもあります。
私たちは、ひとの想いを信じる法律事務所です。
交通事故、企業法務、労務問題などを中心に、幅広く法律相談を承っております。
お客様の意向に寄り添う法律事務所を目指しておりますので、お困りの際は一度ご相談ください。

▼弁護士法人えそら
https://esola-law.or.jp/


【5】まとめ

新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの日常生活を支える『仕事』にも大きな影響を与えています。雇用形態によっては収入も大きく変化してしまうため、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

「LINE弁護士相談」では、雇用に関するトラブルや悩みはもちろん、支援制度や助成金といったサポートの相談もお受けしています。Q&Aによる弁護士への相談は無料ですので、些細なことでもお気軽にご相談ください。