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結婚が決まっても、相手が実は「重度のマザコン」だと判明したら引いてしまいますよね。
しかも相手が「お母さんに反対されたから結婚できない」と言ってきたら、ショックです。
そんな理由で婚約を解消できるのでしょうか?相手に慰謝料請求はできないのでしょうか?

今回は婚約者がマザコンで、母親に反対されて婚約を解消されたときに慰謝料請求できるのか、またこちらから婚約を解消しても問題はないのか、法的な観点から解説します。

■もくじ

≪事例≫
【1】婚約破棄で慰謝料が発生する条件
 1-1婚約が成立している
 1-2婚約破棄に「正当な理由がない」
【2】相手がマザコンで慰謝料請求できるケースとできないケース
 2-1婚約破棄の慰謝料請求できるケース
 2-2母親に慰謝料請求できるケースもある
 2-3婚約破棄の慰謝料請求できないケース
 2-4マザコンだからといって婚約解消すると、こちらが慰謝料を払う必要がある可能性も
【3】請求できる慰謝料の相場はどのくらい?
【4】婚約慰謝料請求するため必要な証拠は?
 4-1≪婚約成立に関する証拠≫
 4-2≪相手が不当破棄したことに関する証拠≫
≪監修ライター紹介≫
【5】まとめ


≪事例≫

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Aさん(23歳 女性)は合コンで知り合った彼と半年間くらい交際していました。彼は優しくて信頼できる人柄で、仕事も正社員で将来も安心でした。プロポーズされて結婚が決まり、準備を進めることに。

結婚式場を決めるときに「お母さんが勧めているからここにしよう」と言ってきたり「新婚旅行にはうちの親も来て良い?」などと聞かれたりしたので驚いたのですが、さほど気に留めていませんでした。

ところが彼の親と顔合わせをした頃から様子がおかしくなり、よそよそしい態度を取られ、ついには「結婚できない」と言われてしまったのです。理由を聞いてもはぐらかされていましたが、どうも母親に反対されたことが原因のようでした。それどころか母親に勧められた別の女性との結婚話も進められている様子が!

Aさんは彼がマザコンであると気づきましたが既に遅く、母親に反対されたから婚約を解消されてしまったのです。

こんな理由で婚約を解消されたとき、慰謝料請求できるのでしょうか?


【1】婚約破棄で慰謝料が発生する条件

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婚約を解消されたときに相手に慰謝料請求できるケースがあります。
そのためには2つの条件を満たさねばなりません。


1)婚約が成立している

2人の間に「婚約」が成立していることが必要です。単に「交際しているだけ」では振られても慰謝料請求できません。たとえば以下のような事情があれば婚約成立が認められやすくなります。

  • 婚約指輪の交換をしている
  • 結婚式場の予約をしている
  • 結納式をした
  • 新婚旅行の予約をしている
  • 結婚式の招待状を発送した

  • 2)婚約破棄に「正当な理由がない」

    次に相手による婚約破棄に「正当な理由がない」ことが必要です。

  • 相手が浮気して婚約解消された
  • 「家風が合わない」と言われて婚約解消された
  • 「嫌いになった」と言われて婚約解消された
  • 相手が暴力を振るうので婚約解消せざるを得なくなった
  • 宗教が合わないという理由で婚約解消された
  • 部落差別や民族差別で婚約解消された

  • 上記のような場合、婚約に正当な理由がなく相手に婚約解消の責任があるので、慰謝料請求できる可能性があります。


    【2】相手がマザコンで慰謝料請求できるケースとできないケース

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    婚約者がマザコンだったら、慰謝料請求できるのでしょうか?


    2-1婚約破棄の慰謝料請求できるケース

    たとえば以下のようなケースでは、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。

  • マザコンの彼が浮気をした
  • マザコンの彼が「母親に勧められた女性と結婚することになった」から婚約破棄された
  • マザコンの彼がモラハラ行為を行ったので婚約解消せざるを得なくなった
  • マザコンの度が過ぎて社会常識を逸脱した行動をとるので婚約解消せざるを得なくなった
  • 彼の母親が結婚に反対したので、彼も一緒になって婚約者を攻撃するようになり婚約を破棄された

  • 2-2母親に慰謝料請求できるケースもある

    相手がマザコンで母親も一緒になって積極的に結婚を妨害していた場合、母親にも慰謝料を請求できる可能性があります。裁判例にも母親の責任を認めたものがあります(徳島地判昭和57年6月21日)。


    2-3婚約破棄の慰謝料請求できないケース

    以下のような場合には、相手がマザコンでも慰謝料が発生しない可能性が高くなります。

  • 女性の方もマザコンの彼に嫌気がさして婚約解消となった
  • 彼から婚約解消を申し出たが、女性側も相手がマザコンなので「性格が合わない」と思い納得していた
  • お互い合意の上で婚約を解消した
  • 女性の方も「こんな男性と結婚したら将来面倒なことになる」と思い、婚約解消を望んでいた

  • 2-4マザコンだからといって婚約解消すると、こちらが慰謝料を払う必要がある可能性も

    婚約者がマザコンだった場合、女性の方から嫌気がさして婚約解消したいと考えるケースも少なくありません。しかし、婚約が成立している以上、安易に婚約破棄すると今度は女性側に慰謝料支払い義務が発生してしまうかもしれません。

    マザコンの程度にもよりますが、「あなたはマザコンだから」という理由のみで婚約を解消すると、婚約破棄に正当な理由が認められない可能性があります。

    婚約解消の正当事由になるのは上記でも紹介したように、相手のマザコンの度が過ぎており、社会常識を逸脱した行動を繰り返している場合、暴力を振るわれた場合、相手が浮気した場合などです。

    また法的に慰謝料が発生する事案でなくても、婚約を解消すると婚約解消に不満を持った相手が慰謝料請求しようとするケースがあります。婚約を解消するときにはしっかりと話し合い、お互いが納得できるように進めましょう。


    【3】請求できる慰謝料の相場はどのくらい?

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    マザコンの彼から無理矢理婚約を解消されたとき、相手にどのくらいの慰謝料を請求できるのでしょうか?

    多くのケースでは50万円~200万円程度です。
    以下のようなケースでは慰謝料が高額になります。

  • 交際期間が長い
  • 婚約期間が長い
  • 破棄された女性が妊娠・中絶・出産した
  • 破棄された側が精神病になった
  • 破棄された側が結婚のために仕事を辞めていた
  • 破棄した側が不誠実

  • 【4】婚約慰謝料請求するため必要な証拠は?

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    婚約破棄で慰謝料請求するには証拠が必要です。証拠がなかったら、相手が「婚約なんてしていない」「不当破棄ではない」などと言い訳して慰謝料支払いを拒絶しても反論できないからです。

    以下のような証拠を集めましょう。


    4-1≪婚約成立に関する証拠≫

  • 結婚指輪、婚約指輪
  • 結婚式場の予約をしたときのメールなどのやり取り
  • 結婚式場、新婚旅行の領収証、払込証
  • 結婚式のキャンセルのやり取りのメールなど
  • 結納を執り行ったときの領収証
  • 結納金支払いのために出金した口座の通帳
  • 結婚式の招待状の控えや招待者名簿
  • 新居に移転するために支払った入居費用の領収証
  • 新居を購入した場合、売買契約書や住宅ローンに関する資料

  • 4-2≪相手が不当破棄したことに関する証拠≫

  • 婚約解消について相手から告げられたときのやり取りのメール、LINEなどの記録
  • 婚約解消について相手と話し合ったときの音声記録
  • 婚約解消について相手の母親と話したときの音声記録
  • 相手の母親から届いた手紙やメールなど

  • 相手が「母親に反対されたから」「母親に勧められた女性がいるから」という理由で婚約を解消してきた場合、その言葉を「文章」や「音声録音」などの記録にする必要があります。

    メールやLINEでやり取りをしたり、話し合いの際に録音したりして証拠を残しましょう。

    ライタープロフィール 福谷 陽子(法律ライター/元弁護士)


    ぴりか
    この記事は、福谷 陽子が担当しました。

    弁護士として約10年実務経験を積み、ライターへ転身。
    今は法律知識を活かしながら、著作権、男女問題、賃貸借契約や消費者問題、交通事故などさまざまな法律記事を執筆。ネットを使うときに役立つ法律マガジンも運営中。

    ▼元弁護士ライターぴりかの法律blog
    https://legalharuka.com/
    ▼ネットを賢く利用するための法律マガジン
    https://note.com/puku127/m/mdf0838196a8a
    ▼Twitter
    https://twitter.com/pirica8


    【5】まとめ

    婚約を解消されたらショックで落ち込んでしまいますが、考えようによっては「結婚しなくてよかった」ともいえます。結婚してしまってから相手の問題に気づいたら、離婚するのはとても大変だからです。
    相手がマザコンで母親の不当な介入により婚約を破棄されたとき、慰謝料請求も重要である一方、イヤな思い出を振り払って前に進むことも大切。困ったときには弁護士に相談してみてくださいね。