
結婚前の同棲中は彼氏に浮気されたとしても「不貞」にならず、慰謝料請求できないことで有名ですが、実は同棲中でも慰謝料請求できる可能性があります。
それは、彼と「婚約」している場合や「内縁関係」になっている場合。
どのようなときに「婚約」が成立しているといえるのか、また「内縁関係」とは何か、慰謝料の金額は一体どのくらいになるのでしょうか?
同棲中の浮気でも慰謝料請求できるパターンや方法について知っておきましょう。
■もくじ
【1】同棲中の浮気は「不貞」にならない
【2】慰謝料請求できるケースとは?
2-1≪婚約しているケース≫
2-2≪内縁関係になっているケース≫
【3】浮気で慰謝料請求するときの注意点
3-1≪肉体関係の証明が必要≫
3-2≪彼にも浮気相手にも慰謝料請求できる≫
【4】婚約破棄の場合の慰謝料相場や証拠になるもの
4-1慰謝料の相場
4-2必要な証拠
【5】内縁関係が成立している場合の慰謝料相場や証拠になるもの
5-1慰謝料の相場
5-2必要な証拠
【6】慰謝料請求の手順
6-1誰に慰謝料請求するか決める
6-2浮気相手の素性を突き止める
6-3連絡する
6-4内容証明郵便を送る
6-5話し合って合意する
≪監修ライター紹介≫
【7】まとめ
【1】同棲中の浮気は「不貞」にならない
パートナーが別の異性と関係を持ったときに慰謝料請求するには、法律上の「不貞」が成立する必要があります。不貞とは不倫のこと。しかし、同棲中の浮気は基本的に法律上の「不貞」になりません。
不貞とは、配偶者のある人が配偶者以外の人と性交渉をすることです。単なる同棲で結婚していない場合にはあてはまりません。
残念ですが、同棲中の彼が別の女性と浮気しても、基本的に慰謝料請求は不可能です。
【2】慰謝料請求できるケースとは?
同棲中にされた浮気でも慰謝料請求できる可能性があります。それは彼と婚約している場合や内縁関係になっている場合。以下でそれぞれ見ていきましょう。
2-1≪婚約しているケース≫
婚約とは、男女が将来結婚する約束をすること。
婚約しているにもかかわらず彼が浮気したら、婚約を解消せざるを得なくなり、破棄された側は大きな精神的苦痛を受けますよね?そこで慰謝料が発生します。
婚約は書面によってする必要はなく、口頭でも成立します。ただし、当事者同士の口約束の場合、証明しづらく婚約が成立しているかどうかがあいまいになりますよね?
そこで、婚約指輪の受け渡しをしていることや、両親との顔合わせを行っていること、結婚式の準備をしている、結納式を終えたなどの具体的な婚約を示す根拠が必要です。
2-2≪内縁関係になっているケース≫
もう1つは「内縁関係」になっているケースです。内縁関係とは、婚姻届を提出せずに事実上の夫婦関係を作ること。夫婦と同じように一緒に生活して家計も一緒になっているけれど、婚姻届を提出していないのでお互いの姓(苗字)や戸籍が異なる状態です。
内縁関係の場合、「夫婦」であることに変わりないので法律婚と同じ程度の保護を受けられます。法律婚でも内縁でも、配偶者に不貞されたら夫婦関係が破壊されますし、不貞された側は精神的に大きなショックを受けますよね?そこで彼が浮気(不貞)したら慰謝料請求できるのです。
【3】浮気で慰謝料請求するときの注意点

3-1≪肉体関係の証明が必要≫
彼の浮気で慰謝料請求するときには1つ、重要な注意点があります。それは彼が相手の女性と「肉体関係」をもっている必要があること。法律上の「不貞」は「配偶者以外の人と肉体関係を持つこと」です。LINEなどでラブラブメールを交わしていても、一線を越えていなかったら慰謝料請求できません。
慰謝料請求するときには「肉体関係を示す証拠」が必要です。
3-2≪彼にも浮気相手にも慰謝料請求できる≫
婚約破棄のケースでも内縁関係のケースでも、慰謝料は彼と浮気相手の女性の両方に請求できます。どちらか一方だけでももちろんOK。また、相手の女性だけに全額請求することも可能です。相手が「私は半額しか支払いません」などと反論しても認められません。
【4】婚約破棄の場合の慰謝料相場や証拠になるもの

4-1慰謝料の相場
婚約破棄の場合、慰謝料相場は30万円~300万円と幅広くなっています。
慰謝料が高額になるのは、以下のような場合。
4-2必要な証拠
婚約破棄のケースで慰謝料請求するには、以下のような証拠を集めましょう。
婚約が成立していたことを示す証拠
不貞の証拠
【5】内縁関係が成立している場合の慰謝料相場や証拠になるもの

5-1慰謝料の相場
内縁関係の相手に不貞された場合の慰謝料相場は、100~300万円程度です。
婚姻期間が長いと慰謝料は高額に。たとえば婚姻期間が1~3年程度なら慰謝料は100万円程度が相場ですが、婚姻期間が10年程度になると慰謝料は300万円程度にまで上がります。
ただし彼が不貞しても夫婦関係が崩れなかった場合(別れなかった場合)には慰謝料は100万円以下に下がるのが通常です。
5-2必要な証拠
内縁関係が成立していることを示す証拠
不貞を証明する証拠
不貞を証明する証拠は、基本的に婚約破棄のケースと同じです。
【6】慰謝料請求の手順
婚約破棄されたときや内縁関係の彼が浮気したときに慰謝料請求するには、以下の手順で進めましょう。
1)誰に慰謝料請求するか決める
まずは彼に慰謝料を請求するのか、浮気相手に請求するのか、もしくは両方に請求するのか、誰に慰謝料を請求するかを決めましょう。
2)浮気相手の素性を突き止める
LINEなどで浮気を発見した場合、浮気相手がどこの誰か分からないケースも多いため、SNSやアドレス帳のデータなどから相手を突き止めなければなりません。自分一人で限界がある場合、弁護士や探偵を頼らないといけないことも。メールアドレスだけでもわかっていれば相手を突き止められる可能性があるので、一度相談してみましょう。
3)連絡する
請求相手に慰謝料を払ってほしいと連絡します。彼に請求するなら一度話し合いを持ちかけましょう。浮気相手に請求する場合には、次に紹介するように「内容証明郵便」を利用するのが効果的かもしれません。
4)内容証明郵便を送る
内容証明郵便は、発送した書類と同じ控えが手元に残る郵便です。直接手渡しで届けられるためインパクトが強く、相手に強いプレッシャーを与えられます。LINEやメールなどで連絡するよりも相手が真剣にとらえて慰謝料支払いに応じる可能性が高くなるので、浮気相手に慰謝料請求するなら内容証明郵便を使うのがお勧め。
5)話し合って合意する
彼や浮気相手と話し合い、慰謝料の金額や支払方法を決めます。合意できたら必ず合意書を作成して「書面」にしましょう。
その後、無事に支払いを受けられたら解決です。もし支払われなかったら裁判などを検討しなければならないので、弁護士に相談してみてくださいね。
ライタープロフィール 福谷 陽子(法律ライター/元弁護士)
この記事は、福谷 陽子が担当しました。
弁護士として約10年実務経験を積み、ライターへ転身。
今は法律知識を活かしながら、著作権、男女問題、賃貸借契約や消費者問題、交通事故などさまざまな法律記事を執筆。ネットを使うときに役立つ法律マガジンも運営中。
▼元弁護士ライターぴりかの法律blog
https://legalharuka.com/
▼ネットを賢く利用するための法律マガジン
https://note.com/puku127/m/mdf0838196a8a
https://twitter.com/pirica8
【7】まとめ
同棲中の浮気でも慰謝料請求できる可能性があります。自分のケースで慰謝料が発生するかどうかわからない場合、一度無料相談などを利用して弁護士にアドバイスを求めてみてはいかがでしょうか?