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春はお花見のシーズン。職場のメンバーで集まる機会も多いですよね。

しかし、毎年この季節が訪れると「憂鬱な気分」になる方が増えています。原因は「お花見でのハラスメント」。
楽しいはずのイベントが上司や異性からのパワハラ、セクハラの温床になっているというのです。
こうした行事でいったいどういった行為がハラスメントに当たるのでしょうか?被害に遭ったときの対処方法は?

今回は、お花見でのセクハラやパワハラなどのハラスメント被害の事例や、対処方法を解説してきます。

■もくじ

【1】お花見でのハラスメント事例
 1-1場所取りをさせられる
 1-2無理矢理お酒を勧められる
 1-3暴行
 1-4セクハラ
【2】お花見でのハラスメントは違法?
【3】お花見でのハラスメントと刑事責任
 3-1暴行罪
 3-2傷害罪
 3-3強要罪
 3-4名誉毀損罪、侮辱罪
 3-5迷惑防止条例違反
 3-6強制わいせつ罪
【4】お花見でハラスメント被害を受けたら損害賠償請求できる?
【5】お花見でハラスメント被害を受けたときの対処方法
 5-1≪証拠を集める≫
 5-2≪相手に慰謝料請求する≫
 5-3≪場合によっては刑事告訴も検討≫
≪監修ライター紹介≫
【6】まとめ


【1】お花見でのハラスメント事例

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お花見では、以下のようなハラスメントが起こるケースが多々あります。


場所取りをさせられる

よくあるのが平社員の方が上司の命令で朝から「場所取り」させられるケース。シートを敷いて一人でじっと座り続けていると、身体も冷え切ってお花見が始まる頃にはすっかり体調が悪くなっていることも。


無理矢理お酒を勧められる

最近では、飲めない人に無理矢理お酒を飲ませる「アルコールハラスメント(アルハラ)」が問題になってきていますが、それでもお花見の席では「酒を飲ませる人」がまだまだ存在しています。

上司に無理矢理飲めないお酒を飲まされて「苦痛」を感じたことがある方も多いのでは?


暴行

お酒に酔った勢いで周囲に絡み、暴言を吐いたり殴ったり、胸ぐらをつかむなどの暴行を振るう人も。迷惑すぎて「帰りたい」と思ってしまいますよね。


セクハラ

さらに多いのがセクハラ被害。シートの上にみんなが身体を寄せ合ってお酒を飲むので、女性社員は男性社員から身体を触られたり、周囲の知らないおじさんに「一緒に飲まない?」などとナンパされたりして本当に迷惑です。


【2】お花見でのハラスメントは違法?

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お花見でパワハラやセクハラなどの行為をすると「違法」にならないのでしょうか?

すべての迷惑行為が違法なわけではありませんが、度を超えると違法になる可能性があります。
違法行為となる場合、加害者に問われるのは「刑事責任」と「民事責任」。
刑事責任とは「犯罪者」となって刑事裁判になり、罰金や懲役などの「刑罰」を適用される責任、民事責任とは主に被害者から「損害賠償請求」をされる責任です。

以下でお花見と法的な責任がどういったものなのか、みていきましょう。


【3】お花見でのハラスメントと刑事責任

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お花見でのハラスメント行為により刑事責任が発生するのは、以下のようなケースです。


3-1暴行罪

他人を殴ったり蹴ったり、胸ぐらをつかむなどの暴力を振るったら「暴行罪」が成立するため、お花見の席で酔った上司や同僚から暴行を振るわれたら、相手は暴行罪になる可能性があります。

暴行罪の刑罰は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、もしくは拘留または科料」。

拘留とは29日以内の間、拘置所などで身柄拘束される刑罰、科料とは9,999円以下の金銭支払いの刑罰です。


3-2傷害罪

他人に暴行を加えてけがをさせてしまったときには「傷害罪」が成立します。お花見の席で相手から殴られてけがをしたら、相手は傷害罪になるということ。

傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」です。


3-3強要罪

他人を脅迫して義務のないことをさせたら「強要罪」が成立します。お花見の席で断っているのに無理矢理お酒を勧められて「昇進しなくて良いのか」「解雇するぞ」などと言って脅されて飲まされたら「強要罪」が成立する可能性が。

刑罰は「3年以下の懲役刑」です。


3-4名誉毀損罪、侮辱罪

お花見の席でみんながいるのに上司や同僚から、「こいつは本当にできが悪い!」「やめちまえ」などと罵倒されたり、「〇〇さんは▽▽とデキてる(不倫してる)」などと言われたりしたら、相手に「名誉毀損罪」や「侮辱罪」が成立する可能性があります。

名誉毀損罪の刑罰は「3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金刑」。

侮辱罪の場合「拘留または科料」となります。


3-5迷惑防止条例違反

公共の場所で痴漢行為をすると「迷惑防止条例違反」になります。迷惑防止条例とは、各都道府県が迷惑行為を禁止している条例。

お花見の席で上司や同僚、知らないおじさんなどから身体を触られたら基本的に迷惑防止条例違反です。

刑罰は各都道府県によって異なりますが、東京都の場合には「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金刑」となっています。


3-6強制わいせつ罪

痴漢行為が悪質な場合「強制わいせつ罪」が成立します。たとえば、衣服の下に直接手を入れられて身体を触られる、無理矢理キスされる、押し倒される、服を脱がされる場合など。

刑罰は「6か月以上10年以下の懲役刑」です。


【4】お花見でハラスメント被害を受けたら損害賠償請求できる?

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お花見で相手に上記のような犯罪が成立して違法になる場合、慰謝料請求できます。

殴られてけがをさせられたら治療費や休業損害なども請求可能。
また刑事責任と民事責任の違法性判断基準は少し異なる点があるので、犯罪が成立しなくても慰謝料請求できるケースもあります。

お花見でハラスメント被害を受けたとき、泣き寝入りする必要はありません。


【5】お花見でハラスメント被害を受けたときの対処方法

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実際にハラスメント被害に遭ったら、具体的にどのように対処すれば良いのでしょうか?


5-1≪証拠を集める≫

相手の責任を追及するには、まずは証拠が必要。以下のようなものを集めましょう。

  • その場にいた同僚などの証言
  • スマホなどによる録音、録画のデータ
  • けがをさせられた場合、医師に作成してもらった診断書
  • 診療報酬明細書

  • お花見のハラスメントを証拠化するため、その場で自分で録音や録画をしておきましょう。被害者自身の供述も証拠になります。


    5-2≪相手に慰謝料請求する≫

    迷惑行為をされたら、まずは慰謝料請求をするようお勧めします。

    相手に口頭やメールなどで請求を行い、応じてくれなかったら「内容証明郵便」を使って請求しましょう。

    自分で請求するのが難しい方は、弁護士に相談してみてください。弁護士が代理で請求すると、相手も真剣にとらえてスムーズに支払いを受けられるケースが多くなっていますよ。


    5-3≪場合によっては刑事告訴も検討≫

    相手の行為が悪質で許せないと思うこともあるでしょう。
    たとえば無理矢理キスされた、酷い名誉毀損をされた、けがをさせられたなど。

    そんなときには慰謝料請求だけではなく刑事告訴も検討してみましょう。

    特に名誉毀損罪や侮辱罪は、告訴をしないと相手に処罰を与えることができません。これらは「被害者からの告訴がないと起訴できない親告罪」だからです。

    告訴するには、所轄の警察署に「告訴状」を提出する必要が。
    自分一人でやり方がわからないときには弁護士のサポートを受けてくださいね。

    ライタープロフィール 福谷 陽子(法律ライター/元弁護士)


    ぴりか
    この記事は、福谷 陽子が担当しました。

    弁護士として約10年実務経験を積み、ライターへ転身。
    今は法律知識を活かしながら、著作権、男女問題、賃貸借契約や消費者問題、交通事故などさまざまな法律記事を執筆。ネットを使うときに役立つ法律マガジンも運営中。

    ▼元弁護士ライターぴりかの法律blog
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    ▼Twitter
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    【6】まとめ

    ただ職場の人が相手だと、その後の人間関係についても考えておかないといけません。悪質なハラスメント行為を我慢する必要はありませんが、話し合いで解決するのがベストなことも多いでしょう。ハラスメント被害にあった際は、この記事の内容を参考にして状況に応じて対処していってくださいね。