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新型コロナウイルスの影響により、業績が大きく悪化する企業が増加しています。従業員の雇用も維持できなくなり、リストラが行われて解雇される人も増えてくるでしょう。心配なのはパートやアルバイトなどの非正規雇用者。主婦がパートで家計を支えている家庭では、解雇されたら生活に困ってしまう可能性も。新型コロナウイルスによる経営状況悪化を理由に解雇されたら、不当解雇なのでしょうか?今回は主婦のパートの方が解雇されたときの対処方法をご紹介します。

■もくじ

【1】パートでも自由に解雇できるわけではない!
【2】解雇できるケースとは?
【3】パートでも解雇予告や予告手当は適用される?
【4】経営難の場合はパート職員へのリストラができる?
【5】契約社員の「雇い止め」とは?
【6】パートで不当解雇されたらどうしたら良いのか?
 6-1.解雇理由証明書を取得
 6-2.会社側とのやり取りを保存
 6-3.労基署や労働局に相談
 6-4.弁護士に相談
≪監修ライター紹介≫


【1】パートでも自由に解雇できるわけではない!

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一般的にパートの場合、「正社員より簡単に解雇できるだろう」というイメージがあるかもしれません。しかし、パートやアルバイトであっても、会社が自由に解雇することはできません。解雇の要件は、基本的に正社員のケースと同じなのです。それは、パートも含めたすべての労働者が「労働基準法」や「労働契約法」などの法律で保護されるから。また、パートの場合には「パートタイム労働法」が適用されるため、正社員と比べて不当な待遇を受けることのない配慮もされています。


【2】解雇できるケースとは?

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労働契約法上、会社がパートも含めて契約期間のない従業員を解雇するには、以下の2つを満たす必要があります。

●解雇に合理的な理由がある
解雇してもやむを得ない合理的で正当な理由が必要です。単に「気に入らない」「他の人より能力が劣る」程度では解雇理由になりません。

●解雇の方法が社会的に相当である
解雇する際の方法も重要。教育や指導を行っても改善の余地がなく、他の部署への転換などによっても対応できない場合に限ってようやく解雇が認められます。合法的に解雇できるのは、「何度注意しても無断欠勤を繰り返す」「勤務態度が著しく悪く反抗的で改善の余地がない」など、よほど問題のあるケース。パートであっても普通に働いている限り解雇はできないと考えましょう。


【3】パートでも解雇予告や予告手当は適用される?

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一般的に会社が社員を辞めさせるときには、「解雇予告」や「解雇予告手当」の対応をしなければなりません。解雇予告とは、解雇の30日前に解雇通知をすること。解雇されると従業員には多大な影響が及ぶので、事前予告が必要とされます。30日に間に合わなかったときには、不足日数分の「解雇予告手当」というお金を払わねばなりません。これらの解雇予告や解雇予告手当の規定は、パートの場合にも適用されます。もしも解雇されたときにこれらの措置がなかったら不当解雇なので、きちんと請求してみてくださいね。


【4】経営難の場合はパート職員へのリストラができる?

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パートの従業員であっても、解雇には「合理的な理由」などの厳しい要件が適用されるので、簡単には解雇できません。ただし企業が経営難に陥ってリストラするときには、通常時よりも解雇が認められやすくなります。具体的には、以下4つの要件を満たすと有効になる可能性があります。

●人員削減の必要性
解雇してもやむを得ない合理的で正当な理由が必要です。単に「気に入らない」「他の人より能力が劣る」程度では解雇理由になりません。

●解雇を回避するための努力
企業がリストラするには、まずは資産売却、事業の縮小や不採算部門の撤退など、他の方法で解雇を回避する努力をしなければなりません。

●人選の合理性
解雇する従業員の人選の合理性も問われます。恣意的に気に入らない人を解雇するリストラは認められません。

●労働者側との協議、誠実な対応
労働組合や労働者の代表者ときちんと協議を行い誠実に対応する必要があります。

新型コロナウイルスの影響で、会社がどうしようもないほど傾いていればリストラできる可能性がありますが、たいした影響を受けていない場合や、解雇以外の方法によって対応できる場合などには解雇することはできません。上記に挙げた4つの要件を満たしていない場合は「不当解雇」の可能性が高いです。また人選の合理性や労働者側との協議なども求められるので、リストラは簡単ではないでしょう。


【5】契約社員の「雇い止め」とは?

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パートなどの従業員は「契約期間」があるケースも多いですよね。契約期間があると、基本的に契約期間中は解雇できません。できるとすれば「会社のお金を横領した」など、よほどの問題行為があって懲戒解雇する場合くらいです。ただし契約期間が終了すれば、「更新」するかしないかは基本的に雇用者の自由なように思えますよね?更新されなければ結果的に解雇されたのと同じ結果に。このように期間のある労働契約が更新されないことを「雇い止め」といいます。

実は法律(労働契約法)は、契約期間のある従業員の雇い止めを制限しています。「過去に何度も当然のように契約が更新されていて、雇い止めが『解雇』と同視できる」などの要件を満たす場合、雇い止めは不当解雇と同じ扱いになり無効になる可能性も。パートで契約期間が更新されなかったとしても、諦める必要はないということですね。


【6】パートで不当解雇されたらどうしたら良いのか?

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もしも新型コロナウイルスの影響を理由に解雇されてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか?


6-1.解雇理由証明書を取得

まずは会社側へ「解雇理由証明書」を要求しましょう。解雇理由証明書とは、会社が考える「解雇の理由」を記載する書類です。法律上、解雇するには合理的な理由が必要。もしも解雇理由証明書に書かれた理由が合理的でなければ、不当解雇の証拠となります。


6-2.会社側とのやり取りを保存

解雇に納得できないなら、会社に「解雇を受け入れない」と告げて交渉をしましょう。そのやり取りはすべて保存するようお勧めします。会社側が解雇を撤回しないなら後に労働審判や訴訟になる可能性がありますが、その際には「証拠」が必要になるからです。

●会社側から届いたメール
●会社側から届いた書面
●話し合ったときの録音の記録

こういったものを手元に残しておいてくださいね。


6-3.労基署や労働局に相談

会社が解雇予告手当を払ってくれない場合などには「労基署(労働基準監督署)に通報すれば勧告などの対応をしてもらえる可能性があります。また会社に解雇を撤回してほしい場合、都道府県の「労働局」に相談すれば会社との話し合いを「あっせん(仲介)」してもらえるので、状況に応じて利用してみてください。


6-4.弁護士に相談

会社の態度がかたくなで話合いにならないケースでは、弁護士に相談しましょう。自分で連絡して無視されるケースでも、弁護士が内容証明郵便などで連絡すると対応する会社が多いからです。会社に戻らず「解決金」というお金をもらって解決できるケースもよくありますよ。弁護士が入っても話しができないなら、裁判所で労働審判や訴訟などを行って権利を実現する方法も。最適な解決方法は状況によっても異なるので、まずは一度相談するところから始めてみてくださいね。

新型コロナウイルスを理由に解雇・リストラされたとしても、あせらず正しい知識を持って対応しましょう。困ったときには労働基準監督署や労働局、弁護士などの専門家の力を遠慮なく頼ってください!



ライタープロフィール 福谷 陽子(法律ライター/元弁護士)


ぴりか
この記事は、福谷 陽子が担当しました。

弁護士として約10年実務経験を積み、ライターへ転身。
今は法律知識を活かしながら、著作権、男女問題、賃貸借契約や消費者問題、交通事故などさまざまな法律記事を執筆。ネットを使うときに役立つ法律マガジンも運営中。

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