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未婚のまま妊娠してしまったとき、相手の男性が逃げてしまったら、どうしたら良いのでしょうか?不誠実な相手に慰謝料請求できるのか、生まれてきた子どもの養育費はどうなるのか、気になることがたくさんありますよね。困ったときのために正しい知識をもっておきましょう!今回は未婚のまま子どもができたときの「慰謝料」や「養育費」について解説していきます。

■もくじ

【1】合意の上での性交渉なら慰謝料は発生しない
【2】慰謝料が発生するケースとは
 2-1.婚約を破棄された
 2-2.既婚者にだまされていた
 2-3.「避妊している」と嘘をつかれた
 2-4.妊娠が発覚した後の相手の態度が不誠実
 2-5.性交渉を強要された(レイプ)
【3】慰謝料の相場
【4】中絶費用の負担について
【5】養育費も請求できる
 5-1.未婚でも養育費を請求できる
 5-2.相手に「認知」してもらう必要がある
 5-3.強制的に認知させる方法
≪監修ライター紹介≫


【1】合意の上での性交渉なら慰謝料は発生しない

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まずは相手に慰謝料請求ができるのかどうかという点です。基本的には、未婚のまま妊娠して結婚しなかったとしても、相手に慰謝料を請求することはできません。合意の上での性交渉は違法ではありませんし、結婚するかしないかも個人の自由だからです。恋人として付き合って子どもができてしまったとき、たとえ相手が結婚してくれずに別れることとなっても、必ずしも慰謝料は払ってもらえないので注意しましょう。


【2】慰謝料が発生するケースとは

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ただし以下のようなケースでは慰謝料が発生します。


2-1.婚約を破棄された

結婚するかしないかは個人の自由ですが、婚約した場合には状況が異なります。「婚約」とは、男女が結婚を約束する契約。約束したからには、正当な理由がない限り婚約を破棄できません。「子どもができて怖くなったから」というのはもちろん正当な理由にならないので、妊娠を告げたときに婚約を破棄されて逃げられてしまったら、相手に慰謝料を請求することができます。


2-2.既婚者にだまされていた

妻がいるにもかかわらず「独身です」などと偽り、未婚女性をだまして性関係になる悪質な男性の話を耳にしたことはありませんか?たとえば婚活パーティに既婚者が参加していたり、婚活アプリに既婚者が登録して女性と付き合ったりするケースです。女性側は「相手と結婚できる」と信じて身体を許しますが、実際には相手は既婚者であるため、始めから結婚できるはずがありません。このように既婚者が「未婚」とだまして女性と性関係を持つことを、法律的には「貞操権の侵害」といいます。貞操権とは、性的なことを自由に決定する権利。だまされて性関係を持ったら、その権利を侵害されたことになるのです。既婚者にだまされて子どもができてしまい、相手男性に逃げられた場合には、貞操権侵害として慰謝料を請求できますよ。


2-3.「避妊している」と嘘をつかれた

性関係を持つとき、相手から「避妊しているから大丈夫」と言われて信用していたのに、実は避妊していなくて妊娠してしまうケースもありがちです。このようにだまされて性関係を持ったときにも、相手の行為が違法になるので、慰謝料の請求ができます。


2-4.妊娠が発覚した後の相手の態度が不誠実

妊娠が発覚したら、男性側は誠実に対応しなければなりません。たとえば一緒に病院に行ったり中絶費用を折半したり、女性が精神的に不安定にならないように配慮して言葉をかけたりなど。妊娠したと告げたとたんに男性が一切の対応をせず、音信不通になって逃げてしまうなどの不誠実な態度をとった場合には、慰謝料が発生する可能性があります。


2-5.性交渉を強要された(レイプ)

レイプ(強姦)されて子どもができてしまったら、明らかに男性側に強い違法性が認められます。これは一般的な感覚でも当然です。性交渉を強要された場合には、相手に高額な慰謝料を請求できます。実際、強姦(強制性交)は非常に重い犯罪行為にもなっており、刑法での「強制性交等罪」の罰則は「5年以上の懲役刑」。刑事告訴をしたり被害届を出したりして警察に逮捕してもらい、適正な処罰を受けさせるようお勧めします。1人で対応するのが精神的に苦しいなら、弁護士に助けてもらいながら対応を進めていきましょう。


【3】慰謝料の相場

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未婚のまま子どもができて婚約破棄された場合など、相手に慰謝料を請求できるときには「いくらの金額」を払ってもらえるのでしょうか?法的な慰謝料の相場はだいたい100~200万円程度。ただし状況によって金額は大きく変わってきます。相手の行為が悪質な場合や極めて不誠実な場合などには、300万円くらいになるケースも。またレイプのケースでは慰謝料が高額になり、1,000万円程度になる可能性があります。具体的にいくらの慰謝料が適正かについては、ケースバイケースなので、専門の弁護士に相談して確認しましょう。


【4】中絶費用の負担について

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未婚のまま子どもができてしまったら、産むか産まないか迷ってしまうもの。将来のことを考えて中絶を選ぶ方もたくさんいらっしゃいます。中絶費用は、基本的に男女が折半すべき費用なので、妊娠を告げて相手の腰が退けてしまっても、最低限半額は負担してもらいましょう。また実際に中絶するときには、女性の方が身体的・精神的な負担が大きくなるもの。また中絶するために会社を休んで、減収が発生する可能性もあります。こういった女性側のさまざまな不利益を考えると、男性側に全額払ってもらうのも不合理とは言えません。中絶するときには相手の男性と話し合い、できるだけ多くを負担してもらうと良いでしょう。相手の責任が大きい場合には、別途慰謝料や休業補償も請求できます。


【5】養育費も請求できる

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未婚で子どもができたとき「産みたい」と考える方ももちろんいらっしゃいます。子どもが産まれたら、相手の男性には養育費を請求できるのでしょうか?


5-1.未婚でも養育費を請求できる

答えはYESです。養育費は、「親が親である以上、当然に負担しなければならないお金」。結婚している夫婦の間に産まれた子どもだけではなく、未婚のまま子どもが産まれた場合にも、親は子どもに養育費を払わねばなりません。養育費の支払い義務は「自分の生活レベルを落としてでも子どもに自分と同程度の生活をさせなければならない」という厳しいものです。相手が「お金がない」「借金がある」「今の自分の生活を支えるのがいっぱいいっぱいで無理」などと言い訳していても、養育費は払ってもらえるケースがほとんど。あきらめる必要はありません。


5-2.相手に「認知」してもらう必要がある

ただし未婚の相手に養育費を払ってもらうには、基本的に認知が必要。「認知」とは、父と子どもの関係を確認するための法的な手続きです。未婚のまま子どもが産まれた場合、母親と子供の親子関係は明らかになりますが、「父親が誰か分からない状態」になってしまいます。戸籍にも「母親」しか記載されません。この状態では相手に法的な養育費支払い義務が発生せず、養育費の調停なども申し立てられないのです。そこでまずは、相手に「認知」を求めましょう。相手が応じるなら役所に行ってもらい、「認知届」を提出してもらうことで認知ができます。ちなみに認知は出産前でもできますよ。


5-3.強制的に認知させる方法

相手が自分から認知しない場合、調停や裁判を起こして強制的に認知させる方法も。この場合には、DNA鑑定を行って父子関係を確かめることになります。最終的には父子関係が明らかになるので、あきらめずに対処しましょう。

未婚のまま妊娠したら、中絶・出産のどちらを選択しても女性側の負担が重くなりがちです。慰謝料や養育費も請求できるケースが多いので、泣き寝入りする必要はありません。自分1人で抱え込まず、弁護士などの専門家に助けてもらいながら適切に対応を進めていきましょう。



ライタープロフィール 福谷 陽子(法律ライター/元弁護士)


ぴりか
この記事は、福谷 陽子が担当しました。

弁護士として約10年実務経験を積み、ライターへ転身。
今は法律知識を活かしながら、著作権、男女問題、賃貸借契約や消費者問題、交通事故などさまざまな法律記事を執筆。ネットを使うときに役立つ法律マガジンも運営中。

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