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2020年4月から2か月近くにおよぶ「緊急事態宣言」が、5月25日に全都道府県でついに解除されました。ようやく収束の光も見えてきましたが、まだまだ油断はできません。長きにわたる自粛生活によって、在宅ワークや時差出勤、営業制限などの影響で生活スタイルが変化しました。しかし、その変化によって新たなトラブルも発生してきているのです。

今回は、4月に多く寄せられた相談のテーマに沿った体験談や、それに対する法的な見解についてご紹介したいと思います。
※ こちらの記事は、2020年5月25日時点での情報を元に作成しております。新型コロナウイルスの情報が公開時と異なる場合がございますので、ご了承ください。

■もくじ

【1】2020年4月の相談ランキング
【2】まさかこんなことで離婚になるなんて…
   ~在宅が理由で妻の怒りが頂点に~

【3】甘い言葉にはだまされない? ~給付金のメール~
【4】一体どうすればいいの? ~辞めるに辞められない会社~
≪監修弁護士の紹介≫
【5】まとめ


【1】2020年4月の相談ランキング

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4月は年度始まりで、就職、転勤、学校入学、転校など新しい環境に飛び込む時期です。しかし今年は、営業自粛や外出自粛、休校措置などの影響により、環境を変えることが難しい方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そんな状況の中、LINE弁護士相談に多く寄せられた声は以下のようになりました。

1位:離婚・男女問題
2位:インターネットトラブル
3位:労働問題

今月の1位は、月間相談ランキングでも上位の常連である「離婚・男女問題」でした。新型コロナウイルスによって夫婦で過ごす時間が多くなり、それによって不和が生じているケースもあるそうです。
2位には「インターネットトラブル」がランクインしました。在宅ワークで、チャットやWeb会議用のツールの使用頻度が多くなったことや、給付金詐欺の横行などが順位を上げた要因として挙げられるのではないでしょうか。
3位は「労働問題」。新型コロナウイルスにより働く環境が変化し、大変な窮地に追い込まれている方が多くいらっしゃることが原因として挙げられるでしょう。

ランキングに入った相談は、緊急事態宣言によってあおりを受けているものだと思われます。現在どのようなことで悩んでいる方が多いのか、体験談を紹介しつつ考えていきたいと思います。


【2】まさかこんなことで離婚になるなんて… ~在宅が理由で妻の怒りが頂点に~

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相談者:ただし(40才) 職業:システムエンジニア 年収:500万円
妻:りか(37才) 職業:ス―パーのパートタイマー 年収:90万円
娘:はるか(4才)

相談内容

妻・りかとは結婚10年になりますが、現在も良好な関係を築けており、周囲からは“おしどり夫婦”と呼ばれているほどでした。また、仕事で忙しいこともありましたが、時間が許す限り娘のはるかも可愛がってきたつもりです。

しかし、3月末からでしょうか。新型コロナウイルスの影響で僕が在宅ワークになり、次第に喧嘩が増え始めました。さらに4月に緊急事態宣言が発令し、妻が勤めているスーパーが忙しくなってくると、ますます関係が悪化してきました。

妻の言い分によると「スーパーの人手は足りず、休むに休めないし、保育園も閉まってる。あなたは家にいるのだから、娘の遊び相手や洗濯、食事の支度など、少しは協力してほしい」ということでした。しかし、僕にも仕事があります。在宅とはいえ、仕事は仕事です。妻は主婦業を優先させるべきなのに「パートが忙しい」とへりくつを言って家事などを押し付けているようにしか思えません。

お互い完全にストレスフルで、つい先日、とうとう離婚を切り出されました。僕に原因があるのでしょうか?また妻からの離婚を拒否することはできますか?万が一、離婚になった場合、娘の親権は取れるのでしょうか?教えてほしいです。


弁護士の見解

今回のただしさんのケースでは、法定離婚事由にあたるとは考えにくく、離婚が成立する可能性は低いでしょう。原則として、離婚は夫婦が納得いくまで話し合い、お互いの合意によって成立します。しかしながら、ただしさんのように夫婦の一方に離婚の意思がない場合には、合意による離婚ができず、裁判で離婚をする必要があります。

ただしさんの話を聞く限り、家事や育児に協力していない節が見受けられますが、法定離婚事由としては弱いでしょう。とはいえ、育児への不協力を理由に別居になり、それが長期に渡った場合には、夫婦関係が破綻しているとして離婚が認められる可能性が高くなりますので注意しましょう。

なお、親権についてですが、ただしさんの在宅ワーク以前、娘のはるかさんの養育のほとんどは、りかさんが担っていたと思います。親権を取得するには、収入や健康状態のほか、養育実績も重要になってきますので、ただしさんが親権を持つのは難しいでしょう。


【3】甘い言葉にはだまされない? ~給付金のメール~

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相談者:さつき(28才) 職業:派遣社員 年収:200万円

相談内容

高校を卒業してから、派遣社員として仕事に従事してきました。しかし現在、新型コロナウイルスの影響で勤務日を減らされ、時短勤務になってしまい収入が激減。家賃を支払うと、携帯や電気、ガス代が支払えなくなりました。それどころか、食費も削りに削っている状況で、先に不安しかありませんでした。

そんな時、メールで市から給付金の連絡が来ていました。なんとメールに記載された電話番号に電話すれば、30万円を給付して貰えるというのです。さっそく電話して、マイナンバーなどを含めたの個人情報を伝え、手数料として5,000円を指定口座に支払いました。担当してくれた人によると、3日もあればお金が振り込まれるとのことでしたが、1週間以上経っても振り込まれる気配がありません。

先日問い合わせた電話番号に電話しましたが「この電話番号は現在使われておりません」のアナウンス…。私は騙されたのでしょうか。5,000円は少ないかもしれませんが、今の私にとってはとても大切なお金です。何か手立てはないでしょうか。


弁護士の見解

さつきさんのケースは、市役所の職員を装い、さつきさんを騙して5,000円を支払わせておりますので、刑法上の詐欺罪、および民法上の詐欺にあたる可能性があります。民法96条1項により、詐欺による意思表示は取り消すことができますので、さつきさんは5,000円の支払いを取り消して、5,000円の返還を求めることができます。また、刑法上の詐欺罪への対応としては、警察に被害届を出すことが考えられます。しかしながら、実際には詐欺を行った本人を特定することが難しく、だまし取られたお金が戻ってくる可能性は低いです。

現在かなり困窮されている様子が見受けられます。お住いの自治体によっては、国民に一律に出る給付金をすでに支給しているところもあります。そのため、役所に問い合わせてみると良いかもしれません。また、保証人不要で、利子のない貸付金等の制度(※)もありますので、一度確認してみてはいかがでしょうか。

※詳細につきましては厚生労働省の「生活福祉資金貸付制度」のページよりご確認ください。


【4】一体どうすればいいの? ~辞めるに辞められない会社~

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相談者:はづき(32才) 職業:派遣社員 年収:250万円

相談内容

大学卒業後からコールセンターに勤めています。現在勤めている会社は、大手飲食業のコールセンターを運営しているところです。

通常3月や4月は、歓送迎会のシーズンで猫の手も借りたいくらいの忙しさなのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で、仕事がまったくなくなりました。週5でシフトに入っていましたが、仕事がなくなったため、会社自体が休みになってしまいました。一人暮らしをしているので、収入がなくなると生活が苦しいです。

テレビで「雇用調整助成金(※)」の制度を知り、会社に問い合わせをしたところ、派遣社員は適用外と言われてしまいました。てっきり適用範囲内だと思っていたのですが、どうすれば良いのでしょう。また、通常の状態なら給料保障をしてくれない会社なんて辞めてもいいと思いましたが、次の就職先が見つかるか分からないため途方に暮れております。何か良い対処法はないでしょうか。


弁護士の見解

新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業種の方々が窮地に立たされております。はづきさんも、いきなり仕事がなくなってしまったということで本当に大変な状況でしょう。

企業から「雇用調整助成金」の適用外と言われてしまったということですが、助成の対象は事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当ですので、派遣社員であってもはづきさんが雇用保険の被保険者であれば対象になります。はづきさんが対象となる場合には、会社がはづきさんに休業手当を支給すれば、会社は雇用調整助成金の申請をすることができる可能性が高いので、そのことを伝えつつ、休業手当を出すよう交渉してみるのはいかがでしょうか。

また、労働基準法第26条には、会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)の支払いを定めています。はづきさんの場合、こちらに当てはまることも考えられるので、会社に伝えてみてはいかがでしょうか。

断られた場合には、労働基準監督署にメールや電話、窓口などで伝えると是正される可能性が高まります。労働基準監督署に訴えると、個人名が会社に伝えられてしまうと危惧される方もいらっしゃるでしょうが、守秘義務がありますので誰が伝えたかという情報は、会社側に伝わることはありません。ただし、周囲に「労働基準監督署に訴えた」と伝えると、会社の耳に入ってしまうので気を付けましょう。

※詳細は、厚生労働省の「雇用調整助成金」のページをご確認ください。


【監修】アリス法律事務所 田畑 麗菜弁護士


田畑 麗菜弁護士
アリス法律事務所
埼玉弁護士会所属
この記事は、田畑 麗菜弁護士が法律監修を担当しました。

もしも困っていることがありましたら、こんな小さなことで相談していいのかな、なんて思わずにまずはお気軽に話をしましょう。相談後、少しでも気持ちが軽くなったと言ってもらえるように、一人ひとりに寄り添い、親身になってサポートさせていただきます。今が辛いと感じている方が、新たな一歩を踏み出すお手伝いが出来たらと思っております。

▼相談サポートサイト
https://www.soudan-form.com/detail/saitama/907399/


【5】まとめ

緊急事態宣言の発令により、自粛生活のスタートを余儀なくされた4月。弁護士のもとへ寄せられた相談内容も、やはり新型コロナウイルスの影響によるものが多く見受けられたようです。